【肺ストレッチで体が変わる!呼吸コントロール(NHK ガッテン)を見て〜SIMTとの共通点】 2018/05/11

先日、撮りためていた録画を見ていたところ、NHKの番組「ガッテン!」で4月に放送された 『肺ストレッチで体が変わる!呼吸コントロールSP』 が気になったので紹介します。

番組の内容

番組の内容を簡単に説明すると、呼吸の回数の変化が、 ストレス軽減や血圧低下・冷え症改善など体に嬉しい変化をもたらすというもので、 そのためには普段行っている呼吸の回数を1分間に1〜2回少なくするだけで効果があるのだとか。 さらに普段の呼吸をゆっくり行うための肺ストレッチが紹介されていました。 (肺ストレッチに興味がある方は、下のリンクをご覧ください。)

その中でも興味があったのは、なぜ呼吸の回数をゆっくりにすると体に嬉しい効果があるのかという説明の部分です。

説明では、脳にある「呼吸中枢」と「扁桃体」が関係する部分であると取り上げられ、 呼吸がゆっくりになることで呼吸中枢が刺激され、その影響を受けた扁桃体が鎮まると説明されました。 扁桃体はストレスを検知し不安や緊張などの感情を発生させる部位なので、働きが鎮まることで心が安定するんですね。

SIMTとの共通点

そして、SIMTの呼吸法の効果を説明するときに欠かせないのが、呼吸法がもたらす脳への効果なのですが、 体験会やセッションでもやはり同じような説明をするんです。 だから番組を見ていて「あぁ、やっぱり呼吸って大事よね」と改めて実感したわけなんです。

では、ここからはSIMTの体験会などでも説明する内容をおりまぜながら、 扁桃体と呼吸法について説明します。

普段の生活と扁桃体の働き

健康な方でも仕事や家庭において予期せぬ出来事が発生したり心配事があったりすると、 不安な感情が出てきて、体は緊張状態となりますよね。 これは、出来事を察知した扁桃体が活動モードになって、 「危険に対処しなさい」というように体に指令を出す働きをしているんです。 危険から身を守るために必要な機能の一つなのですが、扁桃体が出来事に対し不当に働きすぎてしまうと、 私たちは程度に合わない不安や緊張状態を強いられてしまいます。

日常的に不安や緊張を要する仕事をする方々などは、 上手にリラックスできるものがないと、常に扁桃体が活動し続けるため交感神経優位となり、 肩コリや頭痛・腰痛といった慢性痛が発生したり、不眠などといった体の不調が出てきたりします。 とくに現代はストレス社会といわれていますので、仕事に限らず人間関係のストレスなどで、 こうした症状を抱える人は珍しくありませんよね。

うつ病や不安障害などの病気と扁桃体の働き

うつ病や不安障害などの精神疾患の場合、 健康な方々と違って原因となる出来事がなくても急に不安に襲われ、 いても立ってもいられない状況になることがあります。 これは、過敏になっている扁桃体が誤作動を起こしているようなものです。

客観的な状況としては不安や緊張・悲しみや怒りなどネガティブな感情を起こす要因がなくても、 扁桃体が勝手に活動モードに入ってしまうので、 なぜだか分からないけど不安、焦る、悲しいなどということが起こります。 また、他者の何気ない言動に反応して絶望したりキレたりするのも、 過敏になった扁桃体か関係していると言えるでしょう。

さらに、これらの病気になると脳の前頭前野という部分の機能も低下しますので、 判断力や決断力も失われます。 すると、偏ったものの見方をしてしまいがちで、思考や行動もネガティブなループから抜け出せなくなり、 ますます扁桃体が活発になって悪循環に陥ってしまいます。

SIMT〜ゆっくり呼吸法〜の効果

SIMTの呼吸法には、自然な呼吸の出入りを観察する"自然な呼吸法"と、吐く息だけを1.5〜2倍くらい長くする "ゆっくり呼吸法"があります。

今回は、扁桃体の働きを静めるという観点からゆっくり呼吸法の効果について説明しますが、 その前に、呼吸が与える日常への影響について振り返りましょう。

人間の体には自律神経の働きがあるのは広く知られているところだと思います。 自律神経には交感神経と副交感神経の2種類があって、一言でいうと交感神経は心身を活発にする神経で、 副交感神経は心身を休め回復させる神経です。 車で例えると、前者はアクセル、後者はブレーキ。

交感神経と副交感神経は一日の中でもどちが優位になるかというリズムがあり、 日中には交感神経が優位になり、夜間や睡眠中には副交感神経が優位になります。 このリズムが乱れていると睡眠障害、食欲不振や倦怠感など様々な体調不良を引き起こします。 自律神経を整えるためには生活のリズムを整えることや、良質な食事と睡眠、適度な運動、 リフレッシュできる活動や趣味を持つことなどが大切と言われていますので、 一日の生活リズムを意識しているという方は多いのではないでしょうか。

しかし、もっと短いスパンで見ると、交感神経と副交感神経は1回1回の呼吸によっても変化し続けています。 息を吸うときは交感神経、息を吐くときは副交感神経が働きます。 それを実感できる例としては、仕事に煮詰まっている時にため息をついたり、 深呼吸をして息を大きく吐きたくなるとき。 緊張状態を和らげるために体に備わった自浄作用で、無意識に自然と行っていますよね。 逆に、誰かと言い争いをしたり、いざ踏ん張りどきだというときは、息を吸い込んだ状態で力が入っていたりするものです。

このように無意識のうちに呼吸が日常に与えている影響を実感すると、 呼吸って大事だと思いませんか?

さて、勘の良い方なら、なぜSIMTのゆっくり呼吸法が扁桃体の働きを静める効果があるか、もうお気づきですね。

呼吸の波

画像のように呼吸を波で例えると、自然な呼吸法(青)は吐く息と吸う息が同じ程度で現れているのに対し、 吐く息だけを長くしたゆっくり呼吸法(赤)は、同じ時間の中でも副交感神経がより長く働くことになります。 つまり、身体が「リラックスしている」と感じる時間が多くなるので、 扁桃体の働きも「危険はない、もう大丈夫だ」と安心してくれるんです。

ゆっくり呼吸法はどんな場面で行う?

SIMTのレッスンで教えているゆっくり呼吸法は、座って静かに行うものと、行動中に行うものと、 セッションの課題に沿って説明していますが、 今回はどなたでも気づいたときに取り組めるように、場面の例と取り組み方を説明します。

場面としては、「不安や緊張、焦り、イライラなどが生じている時はいつでも」です。

・人前で発表する

・嫌みや陰口を言われた

・渋滞や満員電車でイライラした

・育児に追われてあれもこれもしなきゃといつも焦っている

など、まさにいま不安や緊張、焦りの場面が生じているときでもいいですし、

・来週の学校、仕事が憂鬱だ

・過去の嫌なことを思い出して気持ちが沈んだ

・明日○○をしなければならないのが不安だ、間に合いそうになくて焦っている

・将来に対して漠然と不安

など、過去や未来に対して思考や感情が発生しているときでもいいです。 そうした感情や気分というのは、そういう状態になったから解決するものではなく、 不当に自分を駆り立て余計な思考や別の感情を発生させる原因になりがちです。 ですから、こうした状況になったときは、「あ、いま扁桃体が活発になったんだな」と気づき、 ゆっくり呼吸法を行いましょう。

上の例であげたような状況で行うときは、その作業をしながらで構いませんが、 少し手を止めて行えるのであれば、その場に立ったまま座ったまま行います。

自分の呼吸に意識を向けて、素早く息を吸ったら、 ゆっくりと息を吐かれるままに任せます。2〜3回同じことを行います。 真剣に行っても30秒足らずで終わります。

終わったら再び同じ感情へ戻るのではなく、いま現在自分に必要な動作に意識を向けます。

・渋滞の車内ならハンドルを握っている感覚やブレーキをしっかり踏んでいる感覚、安全確認など。

・満員電車の中で立っているなら、床と足が接地している感覚や吊皮を握っている感覚など。

・子どもの世話ならおむつを替える動作、抱っこしている重量感や子どもの動き・表情の変化を感じるなど。

・食事中なら噛む感覚、音、味、食感など。

・歩いているなら歩く足の感覚、移り変わる景色、聞こえる音など。

・なにもしていないときなら、自分の呼吸でお腹が膨らんだりしぼんだりしている感覚など。

大切なのは、扁桃体の働きを再び活発にするような刺激的な内容へ意識を移すのではなく、 快でも不快でもないニュートラルな感覚で、なおかつその時の自分に一番ふさわしい価値ある行動です。 (決して逃避的・衝動的な行動ではありません。)

これを一日の中で繰り返していると、その1回1回の実践で扁桃体が鎮まってくれるだけでなく、 長期的にみても扁桃体が鎮まりやすくなり、安定した心を作っていくことができるんです。

では、今回はこの辺で。最後まで読んでいただきありがとうございました。

NHKガッテンのリンク http://www9.nhk.or.jp/gatten/articles/20180411/index.html

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