【夫が洗ったお皿に汚れが!「相手を責めない」けど「自分も我慢もしない」ための3ステップ】 2018/03/01

夫婦共働きの増加に伴い、家事分担が進んでいるという記事を見たのは最近のことです。 まだ全体としては女性の負担割合が大きいものの、 若い世代ほど夫の家事負担は増えてきているのだとか。

そんな中、「家事分担で少し負担は減ったけど、 夫がやった家事に納得がいかず不満は増えた」という妻側の声、 「妻の家事に対する基準が高すぎて、家事をやっているのに不満を言われて面白くない」という夫側の声。 どちらの言い分も分かるけど、どこが二人の言い分の着地点か分からず、 家庭内がピリッとした空気になることもあるのではないでしょうか?

私自身、最近こんな出来事があったのですが、ご自身に置きかえて考えてみてください。

仕事から帰宅して、夫と一緒に夕食のシチューを食した後、急ぎでメールを送らなければならなくなりました。 いつもなら私が食器を洗って伏せておくと、夫が自分のタイミングで食器を拭いてくれるのですが、 この日は夫が「自分が洗うからメール送れば?」と声をかけてくれたので、役割を入れ替えることにしました。

その後、夫が入浴している間に食器を拭いていると、 お皿にシチューの洗い残しを発見しました。こんなことは初めてではありません。 さて、この時あなたならどうしますか?

パターン1:相手を責める、または指摘する

夫が風呂からあがるや否や、「ちょっと!お皿にシチューの汚れが残ってたよ」「どうせやるならきちんとやって!」 「あなたがやるといつもこうよね、私をイライラさせる」「お皿に限らずお風呂掃除だって時々洗い残してることあるし」なんて、 感情に任せて攻撃するかもしれません。あるいは、そこまで激しく責めることはなくても、 「汚れが残ってたから、結局私が洗いなおしたよ」「何度も指摘する方の身にもなってよね〜」と、 軽く愚痴をこぼすなど。いずれも、相手に感情を向けるパターン。

パターン2:不満は抱きつつ我慢する

「前にも注意したのに、またか」「でも今日は私の都合で洗ってもらったし、我慢しよう」 「私さえ我慢すれば丸く収まる」「結局、二度手間になるからやっぱり洗いものは任せられないな」と、 イライラや不満を感じつつ、言っても気を悪くするだけだし喧嘩するのは嫌。 だから、なんとなく気持ちはモヤッとしたまま自分の中に閉じ込めて我慢するパターン。

パターン3:自分も相手も苦しめない

最後のパターンは、マインドフルネスSIMTを用いた"心が平穏である"ための3ステップなのですが、 その前に上記二つのパターンの問題点について考えてみましょう。

SIMTを実践していく中での大切な理論の一つとして、自己は「創造的世界の創造的要素」であるという考え方があります。 今回の例に当てはめて簡単に説明すると、自分は"家庭"という一つの世界を作っている一人であり、 同時に自分は"家庭"という環境によって作られている(成り立っている)ということです。この「自分」は「夫」や「子供」など、 その他の家族と置きかえることもできます。

だから、自分の気が済むようにと相手を攻撃することは、"家庭"という世界を壊していることと同じです。 また、「自分さえ我慢すれば」と感情を抑圧する行動は、自分を大切にしないで自己の内面を攻撃することなので、 やはり"家庭"という世界を壊していることと同じなのです。 どちらのパターンの行動であっても、自分も"家庭"も傷つけている結果となります。

よって、パターン3で考えるSIMTの実践に大切な心構えとしては、

・自分の心が平穏で満たされている

・そのために相手を思いやり大切にする

・それと同じように自分を思いやり大切にする

ということになります。

つまり、自分自身の幸せを作るという自己実現をしながら、 同時に自分を取り巻く"世界"をよりよく作っていくということですね。

では、そのためにはどのような実践をすればよいのでしょうか。SIMTの3ステップを見ていきましょう。

ステップ1:気づく・観察する

ここで大切なのは、ありのままの状態に気づき、評価や判断をせずに観察するということです。

例にしているお皿の洗い残しで説明すると、最初は「お皿にシチューがついている」という状態があるだけです。 しかしほとんどの場合、自動的に「お皿に汚れが残っている」「夫が洗い残している」という判断・思考が発生し、 「不満」などの感情につながっていきます。

本当はありのままの状態・思考・感情は別物のはずですが、私たちは普段これらを別物とは意識していませんので、 自分が評価・判断して心に映した世界が現実だと思っています。 そして、五感などの刺激によって思考や感情は勝手に湧いてきて、放っておくと心は暴走してしまいます。

そこで、感情や思考が発生し心の平穏が乱れそうになっていることに気づき、 自分の心の中で何が起きているのかをありのままに観察します。 「汚れている(ように見える)」「夫がやってくれてない(と思った)」「不満(を感じたようだ)」など。 ()内は前回の記事でも説明したように、自分を客観的に実況中継してみます。 これは必ず()内のセリフをつけるということではなく、「思考=現実」ととらえるのを防ぐための一つの方法です。 大切なのは、自分の心の移り変わりを「思考」「感情」と観察していることです。

この気づきと観察は、感情的に相手を責める行為を一旦落ち着かせてくれます。 また、我慢して自分の感情を抑圧するときには心をギュッと締め付けられるような苦しみが発生しますが、 気づきと観察のエネルギーが苦しみを和らげてくれます。 そうして心の余裕が少しでも生まれたら、短時間呼吸法を実践してみましょう。 短時間呼吸法とは、自分の自然な呼吸の出入りを、その場で数回感じる呼吸法です。 吸って吐いてを3〜4回感じてもいいでしょうし、感情の波が収まるまで数秒から数十秒間行ってもいいでしょう。

ステップ1ができていれば、あなたはすでに半分くらいは自分と相手を大切にする実践を行っていると言えます。

ステップ2:受容する

さて、ステップ1をクリアすると、それだけで今までの自分とは違います。 もう感情や思考の奴隷ではありませんので、次のステップに進みます。

ステップ1の気づきと観察で目の前に現れた現実(お皿の状態、自分の感情など)は、 瞬時に過去のものであり変えることができません。 お皿にシチューがついてなかったことにはできないし、イライラしなかったことにもできません。 だから受け入れるしかないのです。もしここで、「やっぱりこんなことは許せない」「受け入れることは負けることだ」 「おいおい、お皿に汚れが残っているという大変な事態なのに、受け入れるなんてとんでもないことを言ってくれるな」 など思考や感情が湧いてきたらステップ1に戻りましょう。

また、人によってはどうしても目の前の現実を受け入れられないという気持ちが働くことがあるかもしれません。 その裏には、"本音"が働いている可能性があります。(※SIMTで言う"本音"とは、執着や嫌悪、 その他のエゴイズムを含んだ心理で、自分では気づいていないことが多いのですが、 多くの苦しみは本音によってもたらされます。「苦しみのもと」くらいに理解してください。) 普段から相手や自分に怒りを向けることが習慣になっていたり、すでに夫婦関係がとても悪化している場合は、 より強い本音を持っているものです。 実践を続けていると、本音に気づき、苦しみのもとを小さくしていく実践に入るのですが、 まだそこまで実践できないという方は、今はまだ受け入れられないという現実に気づき、それを認めましょう。

ステップ3:自分の願いに沿った行動をとる

いよいよ最後のステップです。

ここまでは、変えられないから受け入れるしかなかったのですが、 「じゃあ、ここからはどう行動するか」というのは、自分の意志で選ぶことができます。 そこで行動を選ぶときに大切なのが自分の願い。SIMTの理論とともに説明した

・自分の心が平穏で満たされている

・そのために相手を思いやり大切にする

・それと同じように自分を思いやり大切にする

です。

ステップ1と2を実践したことで、もう自分の中の怒りやモヤッとがすっきりしたという方は、 この件に関する実践は終わりです。いつもどおりの生活に戻るだけです。

ステップ1と2を実践しても、まだ一人では解決できないと思ったら、冷静に話し合いの場を設けます。 自分の内面に気づきを向け心を平穏に保ちながら、 相手も自分も大切にできる言葉や態度(アサーション)を心がけて話します。 この話し合いの場を設ける時も、二人のことなのだから夫が話し合いに応じるのは当然という態度ではなく、 夫に協力を求めるようにします。この件に関して、夫の行為があなたの感情に起因していることは確かですが、 自分の中で発生している感情は自分のものであり自分の責任です。 ですから、自分の感情を冷静に処理するために夫の理解と協力が必要であることを示すのです。

これに対し夫が話し合いに応じ、意図を理解してくれたら"家庭"という世界は平穏になります。 もし、自分の期待に反した応答だったとしても、実践をしたことは無駄ではありません。 今までなら相手や自分に向けていた怒りのエネルギーを、 実践により平穏なエネルギーに変換できたのですから"家庭"は壊れていません。

「いや、でも夫が話し合いに応じてくれなかったら不満は残ります」という場合、それは新たに発生した感情です。 今度は「夫が話し合いに応じてくれなくて不満に思った」出来事に対してステップ1から実践を行います。 ここまで読み進めてくださった方なら、「なによ、話も聞いてくれないの」などと感情的になり、 "家庭"を壊してしまう行動を回避する方法は、もう分かるはずですよね。

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございました。 日常的なマインドフルネスSIMTの実践と効果を少しでも理解してもらえたら嬉しいです。

ちなみに、実践を続けていると、今回のお皿の洗い残しのようなささいな出来事に対しては、 不快な感情が発生しにくくなります。実際にこのときの私は、

「シチューが残ってる」→「洗おう」 →「…」(なんとなくスッキリしないので短時間呼吸法をしながら心を観察する) →「ちゃんと洗ってくれたら助かるんだけ…」(思考が途中でどうでもよくなっていることに気づく) →目の前のお皿を洗うことに意識を集中する →この件は終わり

というような感じでした。

さらに、この件をこうしてブログにしてもよいか夫に聞くために一連の流れを説明しました。 すると、「あ〜シチューね、残ってるかな〜とれないな〜ってなって、 奥さん気づくかなと思ってたんだけど、やっぱり気づいたんだね」と言われたのですが、 「なんだ、気づいてたんだね、あはは」という笑い話で終わりました。 「分かってたなら洗ってよ」なんて言う気にもなりませんでした。 それは、上記の実践の部分で「モヤッ」としたことをないがしろにせずにその場で観察して処理したため、 夫を責めたくなるエネルギーとして心の中に残っていなかったのだと思います。

急に心をさわやかな風で満たすことはできなくても、毎日の小さな実践の積み重ねが心をやわらかくしてくれますよ。

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