【寒さをしっかり感じることで、「寒いのが嫌」ではなくなる?】

前回は、冷え性とSIMTの呼吸法について記しました。 呼吸法で自律神経を整える(緊張状態になっている交感神経を緩める) ことによって冷えを緩和するという内容でした。

今回は、寒さそのものにスポットを当てることによって寒さから解放されるというお話を、 SIMTの実践を交えながらご紹介します。

冷え込みのひどい朝、駅に向かって自転車をこいでいると、 肌に突き刺さるような冷たい風が吹きつけてきます。 こんなときは「寒いの嫌だ」「早く駅に着かないかな」 「あ〜もう、通勤だけで体力使って仕事やる気なくなる」なんて考えてしまいがちです。

そして多くの場合、こういう自分の反応や思考の回転については気にとめることもないでしょう。 しかし、この無意識に寒さを嫌がっている状態(または意識していても思考を回転させている状態)は、 「寒い=辛い」と思い込む心の習慣のエネルギーを増幅させているようなものなのです。

では、SIMTを実践していると何が違ってくるのでしょうか。 最近同じような状況で私が行った実践は次のようなものです。

「寒くて辛い」といういつもながらの心の習慣のエネルギーが湧いてきていることに気づき、 「寒い」という感覚がきっかけで「辛い」という思考が展開していきそうなことに意識を向けます。

やり方としては「寒い(と思っているな〜)」 「辛い(に変わりそうだな〜)」という()内のように、自分を客観的に実況中継してみます。 そうすることで感覚や思考にのみ込まれず、自分を俯瞰して観察することができます。 (この時点ですでに「寒い=辛い」ではなく、「寒い」と「辛い」はやや切り離されています。) そして、思考を巡らせたり寒さを嫌がったりすることはせず、 自分の五感に意識を向けていきます。 どこが寒いのか、どの程度寒いのか、寒さ以外の感覚はどうなのかを観察するんですね。

すると、

・風が当たる体の部位によって風の強さがちがうこと

・顔にあたる風は冷たいけれど、頬やまぶたには直射日光の温かさも感じること

・足にあたる風はさほど冷たくないこと

・服に包まれている感覚

・動くたびに服と肌が擦れている感覚

・自転車のハンドルを握っている指や手の触感

・髪がなびくときの頭皮の感覚

などを実感し、"ただ寒い"だった一つの大きな塊がばらばらに小さくなっていき、 それ以外にも生き生きした感覚があることが分かってきます。また、これらの触覚だけではなく、 風や車の音、陰と日なたの光の強弱、その他匂いなどがあれば匂いも、 あらゆる感覚を同じ程度で観察します。

寒さを無理に暖かく感じようとしたり、心地よく感じようとしたりする必要はありません。 もしそう感じようとしているのであれば、それもまた思考です。 このように観察をしている合間にも、新たな刺激から別の思考が次から次へと生じてくるのですが、 それも最初の時と同様にとらわれず、気づいては五感に意識を向けるということを繰り返します。

取り組み始めのころは思考に駆られる割合(心の習慣のエネルギー) の方が大きくなることもありますが、繰り返し実践していると"気づき(マインドフルネス)" の力が習慣になっていき、外界の変化による快・不快に振り回されにくくなります。

季節がら「寒さ」について記しましたが、「暑さ」や「痛み」 なども嫌がる習慣のエネルギーが無意識に働いていることがあるので、 同じように実践できます。

取り組むときは、自分のペースで無理なくやってみてください。

ちなみに、今回は「寒さ」という感覚にスポットをあてましたが、 SIMTの実践ではこの対象を「怒り」や「不安」など、 ついついとらわれたり巻き込まれたりして人間関係を悪化させてしまうような感情にも広げていきますよ。

その話はまた後日お楽しみに。

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